料理人が賄いを作るときのコツと注意点。レシピ以前に大切なもの。

賄いを食べている料理人
そばだんごちゃん
そばだんごちゃん

明日は初めての賄い担当の日。何を作ろう。

今まで下働きばかりでちゃんとした料理も作ったことないのに大丈夫かな?けどうまい料理作って先輩たちを見返してやりたいぜ!

ん~、とういうか、まかないってどうやって作ればいいんだ?

何の食材を使って、いつ、作り始めたらいいんだろう?

やばい、怖くなってきた。

賄いを作るときのコツと注意点を教えて~

そんな疑問を解決します

本記事の内容
  • 前日に段取りをしっかり組んでおく
  • 食材は安いor今使えるものを使う
  • 同じ料理はなるべく出さない

この記事を書いている僕は2年制の調理学校を卒業後、ホテルで2年、個人のレストランで2年調理の勉強をしました。僕自身も賄いづくりには毎日かなり悩まされました。ホテルで2年働いたところで料理の技術なんてものは0に等しかったので、レストランで初めて作らされた時は本当に緊張しました。初めのころは1時間以上かかっていた賄いづくりも1年弱で、40分くらいで作れるようになりました。

賄いづくりは時間との勝負であり段取りが何よりも重要になってきます。

限られた食材と限られた時間で自分のすべてを出し切り美味しい料理が作れるように日々試行錯誤を繰り返しましょう。

この記事を読めば賄いづくりで大成功間違いなしです。

料理人が賄いを作るときのコツと注意点

鶏もも肉レモンクリーム煮込み(賄)

前日に段取りをしっかり組んでおく

前日のうちに何を作るのか決めておきましょう。

そしてレシピを暗記して何度も頭の中でシュミレーションを行いましょう。

始めのうちは基本的な料理を作っておけば間違いが無いです。

気合いを入れて難しそうな料理を作ろうとすると間違いなく失敗します。

誰もが知っているような定番で優しい料理は失敗する可能性が低いです。

まずは、火入れと、味付けしてが出来るようなりましょう。

また、基本的な味付けを覚えてしまえば幅広く応用が利くようになります。

どの調味料をどれくらい使えばこの味になる。この組み合わせはこの味になる。

火を入れていくとこんな味に変わっていく。

作っていくうちにだんだんと分かってきます。

僕はよく「シェフご飯」の基本の100レシピというサイトを見てレシピを決めていました。

クックパッドでレシピを見るのもいいですが家庭用のショボそうなレシピが多いので吟味して決めてください。

実際に作るとなると想定外のことがいくつも出てきてシュミレーション通りにいかないことがほとんどです。

しかし、段取りを組んでおくのとおかないのとでは、かかる時間が大きく違いますし、料理のクオリティーにも大きな差が出ます。

必ず前日に、うまくいくまでシュミレーションを重ねましょう。

空いた時間をうまく使って下準備を

開店前の仕込みがすべて終わって、先輩達にも仕事が無いか聞いた、開店までまだ時間が残っている、そんなときは事前に賄いの準備をしてしまいましょう。

野菜をカットしてしまうのも良し、肉に下味をつけておくのも良し、成形していつ火入れをしてもいいようにしておくのも良し。

ただ、調理場というのは狭いスペース空間でうまく場所を作って仕事をしなければいけません。下ごしらえしたものでスペースを潰してしまわないように考えて行いましょう。

限られた時間を有効活用して段取力があることアピールしておきましょう。

仕込みをするのは時間のかかるものから

賄いを作るときの注意点として絶対にしなければいけないのは、時間がかかるものから作業を進めていくことです。

なぜなら、時間が一番かかるものを後にしてしまうと、どんどん完成時間が先延ばしになってしまうからです。

ご飯を炊くならまず、最初に炊いてしまいましょう。

ご飯を洗うのに3分。湯が沸くまで10分。炊く時間が15分。蒸す時間が10分ほど。

火さえつけてしまえばあとはほおっておけばいいので別の準備に取り掛かれます。

その間に、メインのおかずを炒めて主菜を作り、その間に沸かしておいたお湯にみそを溶き、具材を浮かべて、3品できるので形にはなります。

営業を最優先!

営業が最優先事項だということを忘れてはいけません。

なぜなら営業が一番大切なのに、まかないづくりに一生懸命になってしまって営業に支障をきたすと本末転倒になってしまうからです。

自分の仕事が終わったし賄いやらなきゃいけないから、先輩たちのやってる温菜まだ出てないけど賄いの準備始めちゃえ!今日は人が少ないから賄いの準備してよ。

営業中は何が起こるか分かりません

急に人がいっぱい来てバタバタし始めるかもしれません。

賄いの準備をしていたら、まず片づけをして…、と、ワンテンポ遅れてスタートすることになります。営業中はこのワンテンポがとても響いてきます。

そのことを長年の経験で先輩たちはよく知っているのでやらかすととんでもない勢いで怒られます。

うまーくタイミングを見計らって、営業に支障をきたさないように賄いの準備に取り組みましょう。

食材は安いor今使えるものを使う

ねぎの写真

賄いの食材選びって結構悩みますよね。

けれど賄いの為にわざわざ食材を買い込んで自分の好きなものを作るなんてことは出来ません。

今ある食材や、営業で使わない部分をうまーく利用して賄いに組み込んでいくしかないのです。

だいたいどこに行ってもある食材はじゃがいも、玉ねぎ、にんじん、この3つ。あとはメインになるお肉。

これらをうまーく利用して献立を考えていきます。

僕の働いていた店では、この3種の野菜+豚肩ロースorひき肉or鶏ももor鶏むね、がメインになる食材だったのでうまーく同じ料理を出さないようにバリエーション豊かに献立を組んでいました。

一度、どうしてもクルミを使ったパスタを作りたくて、クルミのクリームパスタを作ろうとしたんですよ。

そうしたらめちゃくちゃ怒られました。

職場にあるからと言って自由に使っていいわけではないので、気を付けてくださいね。

急に別の食材を使わざるを得なくなることもある

賄いは、営業で使えない食材を無駄にしないためものでもあります。

先輩たちが使わなくなった食材が急に回ってくることもあるのです。

なぜなら、料理人は食材を無駄にすることを徹底的に嫌うため、営業で使わないのなら、賄いにして美味しいく食べようという考えだからです。

そうすると、昨日段取りを組んで準備してきたことがすべて無駄になってしまいますよね。

チキンソテーのハニーマスタードソースを作ろうとしてたのに、さばをまかないにしろって言われたらマジで困りますよね。

でも、何とかするしかないのです。

そのためにも、日ごろからいろいろなレシピ本を読んで、あらゆる引き出しをたくわえておきましょう。

鯖の塩焼きにでもして、大根おろしをつけて、卵焼きと一緒に出せるくらいの基本的なレシピは一通りできるようになっておくと対応できるでしょう。

そんな感じで、急に予定外の食材を使うはめになることがある、ということを頭に入れておきましょう。

同じ料理はなるべく出さない

料理人であるならば同じような料理を何度も出してはいけません

なぜなら、料理にバリエーションが出てこないうえに、引き出しが一向に増えていかないからです。

賄いは、見習いの人間が料理できる唯一の場所です。ものすごいチャンスなのです。

作るのはものすごく大変で怖いですが、賄いを作ることでたくさんのことが学べます。

例えば、段取り、火入れ、味付け、料理全体のバランス、盛り付け、タイミング。

料理は感覚が大事なので実践で料理を作って養っていくしかないのです。

僕は和食を作った次の日は洋食を出すようにし、一度作ったら次は違う料理を出すように心がけていました。

そうすると、いろいろなレシピを見る癖がつくんですね。

本屋さんに行ったらレシピの本を必ず目を通すし、いろいろな味付けの仕方を勉強するようになるし。

それを続けていると自分の料理の幅が広がって、できることが増えます。

できることが増えてくると、レシピを見るだけで、作るイメージが出来るようになってきます。

イメージが出来るようになると、一回も作ったことのない料理でもなんとなくおいしくできちゃうんです。

ただ、何度も繰り返し作るということも大切なんです。

一度作ると、必ず反省点が出てきます。次作るときは一回目より断然、段取りよく作業を進めることができるし、反省点を活かそうとするともっとおいしい料理が出来上がるんですよね。

何度も作ることで、得意料理を作るのも一つの手です。

賄いは出来るだけたくさんチャレンジして様々な料理を作って自分の技術の引き出しを作るようにしましょう。

そのために料理の勉強を日々欠かさずおこないましょう。

料理のバリエーションの出し方

様々な料理が並んでいる写真

同じ食材ばかりしか使えないとなると、料理人の腕の見せ所が問われるところです。

火入れの仕方や食材のカットの仕方をうまく変えてバリエーションを出しましょう。

ちょっとしたアイデアや工夫で料理の印象をがらりと変えることができますよ。

例えば、火入れには「焼く」「煮る」「蒸す」「揚げる」なんかがあります。鶏もも肉を使うにしても、チキンソテーにしたり、蒸し鶏の香味ソース掛け、鳥チャーシュー、唐揚げ、同じ食材でも様々なパターンで楽しめますね。

野菜なんかでも、大根を使うなら、千切りにしてサラダ、大根おろし、大根の煮物、大根のきんぴら、葉っぱの部分は味噌汁に。なんて感じにしてアイデアをひねり出してください。

僕が一番使っていたのはソースを変える方法です。同じチキンソテーにしても、トマトソース、レモンクリーム、白ワインソース、バター醤油風味、照り焼き、てな感じでソースを変えるだけで印象がガラッと変わります。基本的には鶏肉を焼いて、あらかじめ作っておいた合わせ調味料をかけて、煮詰めるだけなんでとても簡単にできます。

上手く料理にバリエーションを出して、食べてもらう人に喜んでもらいましょう。

最後に

デザートの写真

僕の職場では食事中みんな黙って食べて、たいして賄いについて意見をくれませんでした。美味しいともまずいとも言わず黙々と食べてるだけ。

正直、自己満足感はあったものの、なんだかなぁーと、もやもやした気持ちでした。

賄いを食べておいしかったらちゃんと「美味しい」と口に出すようにしましょう。

また、自分が作ったときは積極的に意見を聞いて参考にするようにいいかもしれません。

僕はそれができませんでした。

勇気を出して聞いておけばもっとレベルアップできたかもしれないのに。

賄いづくりは料理人にとってとてもとても大事なものです。自分の力を出し切って、こんな料理が作れるんだぞ!と必死にアピールしてください。美味しい料理を安定して作っていれば自然と信頼が生まれます。美味しい賄いを作って信頼を勝ち取ってください。

これで賄いを作るときのコツと注意点を終わります。

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